資本論のための発信No5号 沖縄「資本論を学ぶ会」

 将来の社会を考えよう! 社会の矛盾に目覚めよう! 資本論を学ぼう!

 今回から、「第3節 価値形態または交換価値」を発信します。

 初めに、第3節の目的を示します。一つ目に「いまだかってブルジョア経済学によって試みられたことのない一事を成し遂げようと」言うこと、二つ目に「貨幣形態の発生を証明するということ、商品の価値関係に含まれている価値表現が、どうして最も目立たぬ態様から、そのキラキラした貨幣形態に発展していったかを追求」することで、「貨幣の謎」は謎ではないことを示すことです。

 

  第3節 の説明構成を示します。

A 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態                  B 総体的または拡大せる価値形態                        C 一般的価値形態                               D  貨幣形態   の4項目になります。

 今号は、Aの 一 価値表現の両極、 二 相対的価値形態 を行います。 

 A 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態                           (亜麻布20エレ=上衣1着 または20エレ亜麻布は1着の上衣に値する)

 一 価値表現の両極 

(1)単純なる価値形態の中に隠されている秘密の分析は難儀である。

(2)亜麻布の価値は、上衣で表す。上衣は等価形態にある。

(3)亜麻布は能動的、上衣は受動的である。

(4)亜麻布は相対的価値形態に、上衣は等価形態にある。

(5)相関的に依存し合い、同時に相互に排除、相互に対立する極位、両極である。

(6)価値表現とは何か。亜麻布の極、上衣の極、違った商品でなければならない。

(7)「亜麻布の価値は他の商品においてのみ表現される」

(8)「等価の役を引き受けている他の商品は、みずから同時に相対的に価値形態にあるという訳にはいかぬ。この商品は自分の価値を表現しているのではない。この商品はただ他の商品の価値表現に、材料を供給しているだけである」。

(9)「同一の商品は同一価値表現において、同時に両形態に現われることはできない。この二つの形態は、むしろ対極的に排除し合うのである」

(10)どの商品があの極、その極に、行くかは「ある商品がその価値を表現するものであるか、それともその商品によって価値が表現されるものであるか、にかかっていること」、必然的な偶然であるということでしょうか。

 

二 相対的価値形態 a 内実 b 量的規定性

 

 相対的価値形態の内容は、内実と量的規定性は一つのものとして捉えるべきでしょうが、「内実」と「量的規定性」を別々に論じています。

 「どういうふうに一商品の単純なる価値表現が、二つの商品の価値関係に隠されているかということを見つけ出してくるためには、価値関係を、まず量的側面から独立して考察しなければならぬ。人は多くの場合正反対のことをやっている。そして価値関係の中に、ただ二つの商品種の一定量が相互に等しいとされる割合だけを見ている。人は異種の物の大きさが同一単位に約元されて後に、初めて量的に比較しうるものとなるいうことを忘れている。同一単位の表現としてのみ、これらの商品は同分母の、通約しうる大きさなのである」。

 

 「同一単位に約元」されていく順序を追ってみよう。                              

      ①方程式の基礎 ⇒ ②しかし同一の役割を演じない ⇒ 

      ③亜麻布と『交換され得るもの』の上衣との関係表現 ⇒ 

      ④関係を結ぶと「上衣」は「価値物」に ⇒ 

      ⑤何故か「同一物」になった ⇒ 

      ⑥これで「亜麻布自身の価値」、「価値」になる ⇒  

      ⑦何故か、価値になった亜麻布は等価物の上衣に関係するから。

 途中の説明を保留して、「内実」とは一体何であるかを、最後のセンテンスを引用することで考えることにしよう。

 「価値関係を通して、商品Bの自然形態は、商品A価値形態となる。あるいは商品Bの肉体は、商品Aの価値鏡となる。商品Aが商品Bを価値体として人間労働の体化物として

これに関係することにより、商品Aは、使用価値Bを、それ自身の価値表現の材料とするのである。商品Aの価値は、このように商品Bが使用価値に表現されて、相対的価値の形態を得るのである」と、言うのが「内実」でしょうか。

 途中保留したところの気になる部分を引用すると、「「人間労働の凝結物としての亜麻布価値を表現するためには、それは亜麻布自身とは物的に相違しているが、同時に他の商品と共通に亜麻布にも存する『対称性』として表現されなければならぬ。課題は解決されている」。

 

 今度は「量的規定性」を論じます。何を持って、量的規定なのか追及することか。 方程式には、「同じだけの労働が加えられている、または同一の大きさの労働時間がかけられているということ」を前提として考えるが、「労働時間」は生産力における一切の変化ととともに変化する」ので、「変化の影響」を細かく研究される。

 1、「亜麻布の価値は変化するが、上衣価値は不変であるとする場合」。すると、「亜麻布20エレ=上衣1着の代わりに、亜麻布20エレ=上衣2着という式を持つ」

 2、「亜麻布の価値は不変であって、上衣価値が変化する場合」。すると「亜麻布20エレ=上衣という式の代わりに、亜麻布20エレ=上衣1/2着という式を得る」。

 3、「亜麻布と上衣の生産に必要な労働量は同時に同一方向に同一割合で変化することもある」すると「価値がどんなに変化しても依然として亜麻布20エレ=上衣1着」

 4、「価値は、同時に同一の方向に変化するとしても、違った程度に変化する場合、または反対の方向に変化する場合などがある。一商品の相対的価値に対する、この種類のあらゆる可能な組合せの影響は、簡単に1、2、3の場合の応用によって明らかになる」。

 「量的規定」とは、生産力の変動に応じて、いろいろあり、それにより方程式の両極のあいだに量が変わり、方程式の量的関係が変わるということだろうと思います。

   次回は引き続き、第3節のAの「三 等価形態」を発信します。