資本論のための発信No12号  沖縄「資本論を学ぶ会」

  将来の社会を考えよう! 社会の矛盾に目覚めよう! 資本論を学ぼう!        

 今号は、「第3章 貨幣または商品流通」です。内容は三項目に分かれます。     第1節「価値の尺度」、第2節「流通手段」、第3節「貨幣」、の項目です。    第2節は、「a 商品の変態」、「b貨幣の流通」、「c鋳貨 価値標章」に分かれ、第3節は、「a貨幣退蔵」、「b支払手段」、「c世界貨幣」に分かれます。各章各節とも、箇条書的に、簡略的に行います。

 第1節の「価値の尺度」とは、何か、何を示すものか、如何なる機能をはたすのか、を見て行きましょう。ここでは「金が貨幣商品である」とされています。現代では、金の束縛から逃れるために、金は貨幣として使われていませんが、経済の背後にある論理性を解き明かしていくには重要なポイントです。それは現代の資本主義を論じるには、基本認識であり、単なる資本だけでなく、「総資本」というものも含めて、より接近していくこと、理解すること、はできないのです。内容を列挙していきましょう。

①「金の第一の機能は商品世界に対して、価値表現の材料を提供し、商品価値を同分母を持つ大きさ、すなわち質的に等一で、量的に比較のできる大きさとして表示する」。                                    ②「価値尺度としての貨幣は商品の内在的な価値価値尺度である労働時間の必然的な現象形態」として現れる。                                  ③「ある商品の金における価値表現ーーA商品x量=貨幣商品y量ーーは、商品の貨幣形態であり、またその価格である」。                       ④「貨幣は、その価値尺度の機能においては、ただ観念となった貨幣、または理念的の貨幣としてのみ用いられる」。                         ⑤「すべての金属流通においては、既存の重量尺度標準の名称が、貨幣尺度標準、すなわち価格の尺度標準の最初の名称ともなっている」。               ⑥「価値の尺度として、また価格の尺度標準として、貨幣は二つの違った機能を行う。貨幣は、人間労働の社会的化身として価値の尺度である。確定した金属重量としては、価格の尺度標準である」。                           ⑦「歴史的過程によって、金属重量の貨幣名が、その通常の重量名よりも分離してしまうことは、民族的慣習になってくる。価値尺度標準は、一方で純粋に伝承的のものであり、他方では一般的に通用することを必要とするのであるから、ついには法的に規制される。貴金属の一定の重量部分、例えば1オンスの金は、公的に加除部分に分割され法的な名称を受ける」。                             ⑧「価格は商品に対象化されている労働の貨幣名である。商品と、自らの名を商品の価格としている貨幣定量とが、等価であると言うことは、同じ言葉の反復である」。

 第2節 流通手段の「a 商品の変態」に移ります。箇条書き風に示します。   ①「全過程を、その形式的側面から、ただ商品の形態変化または社会的代謝を媒介する、その変態をのみ考察しなければならぬ」。                                    ②「ある商品の形態変化は、普通の商品と貨幣商品の交換において行われる」。   ③「交換過程は、・・・、外的な対立を生じせしめる。・・・。商品のこれらの対立的な形態は、その交換過程の現実的な運動形態である」。              ④「商品の交換過程、商品ー貨幣ー商品、WーGーW。WーGは第一の変態または売り」⑤「GーWは商品の第二、または終局変態、買い。貨幣はすべての他の商品の脱皮した姿、またはその一般的な売渡しの産物であるから、それは、絶対的に売渡しうる商品である」。                                    ⑥「売る手や買い手になることは、固定した役柄ではなくて、商品流通の内部で絶えず人を交替させる役柄である」。                         ⑦「一商品の循環をなす二つの変態は、同時に二つの他の商品の逆の部分変態をなす。   各商品の変態序列が描く循環は、他の商品の循環と入り混じっていて解けない。総過程は商品流通として表われる」。                         ⑧「流通は、生産物交換の時間的、場所的及び個人的な限界を打ち破るのであるが、それはこうしてである、すなわち、流通そのものが、自分の労働生産物を交換に出し、他人のそれと交換して来るという生産物交換に存する直接の一致を、売りと買いの対立に分裂させることによってである」。「商品の変態」はend

 b 貨幣の流通・・・・どのような役割を担うのでしょうか。          ①「一商品所有者の手から他の商品所有者のそれへと行く貨幣の行路である。流通」。                                    ②「貨幣運動が、商品流通の表現にすぎないのであるが、逆に商品流通は貨幣運動の結果としてしか現れない」。                           ③「他方において、貨幣に対してはただ流通手段の機能だけが与えられる。・・・・。同一商品の相対立した両形態変化は、このようにして、反対の方向に向かってなされる貨幣の二度の地位変更に反映される」。                     ④「貨幣は流通手段としては、絶えず流通部面に棲息していて、絶えずここで動き回っている。この部面は、どれだけの量の貨幣を絶えず吸収するかという問題が生ずる」。⑤「このようにして、流通手段の量は直接に商品の価格につれて変化する」。    ⑥「流通手段の量は、実現せられるべき商品価格総和によって規定される。商品量を与えられたものと前提すれば、流通貨幣の量は、商品の価格動揺とともに増加したり、減少したりする。流通貨幣量は商品の価格総和が、その価格変動のために増大するか、または減少するかしたために増加したり減退したりする」。             ⑦「貨幣流通の速度ということは、商品の形態変化の速度、変態序列の継続的な絡み合い、速い物質代謝、商品の流通部面からの急速な消失と、新たな商品によるその同じく急速な代置が行われることなのである」。                    ⑧「三つの要素、価格運動、流通せる商品量、最後に貨幣の流通速度は、各種の方向に、各種の比率で変化しうる。実現せられるべき価格総和、これによって決定された流通手段の量は、極めて多数の組合せで、できている」。貨幣の流通end

 c 鋳貨 価値標章                             ①「貨幣の流通手段としての機能から鋳貨態様が生まれる」。           ②「造幣局からの道は同時に溶解鍋への道である」。               ③「貨幣流通自身が、鋳貨の名目含有量から実質含有量を分かち、その金属存在を、その機能的存在から分かつとすれば、貨幣流通は、金属貨幣がその鋳貨機能において、他の材料から成る徴標あるいは象徴によって置換えられる可能性を潜在的に含んでいる」④「その鋳貨機能は事実上、その重量から、すべての価値から独立したものとなる。金の鋳貨実在は、その価値実体から分離される。こうして紙券が金の代わりに鋳貨として機能しうるのである」。                            ⑤「ここで問題となるのは、ただ強制通用力をもっている国家紙幣だけである。それは直接に金属流通から成長してくる。これに反して信用貨幣は、我々にとって単純な商品流通の立場からは、まだ全然わかっていないはずの諸関係を前提する」。〔信用に関する篇においてであるから当然です〕                       ⑥「紙幣流通の特殊法則は、ただその金に対する代表関係からしか出てこない。紙幣の発行は、紙幣によって象徴的に表示されている金が現実に流通しなければならぬ量に限定されるべきであるというのである。そこで流通部面が吸収しうる金量は常にある平均水準以上または以下に動揺するのであるが、与えられた一国においては、流通する媒介物の量は、経験的に確定される一定の最少量を下回ることはない」。        ⑦「紙幣は金標章または貨幣標章である。紙幣は他の一切の商品の一定量と同じようにまた価値の一定量でもある金の一定量代表する限りにおいて、価値標章である」。  ⑧「最後に何故に金は、単なる無価値の自分自身の標章によって、置換えることができるか? という問題がある。・・・。貨幣の機能的な存在が、いわばその物質的な存在を吸収する。商品価格の瞬過的に客観化された反射であるから、貨幣はなお、ただ自分自身の標章として機能し、標章によっても置換えられる。ただ貨幣の標章は、それ自身客観的に社会的に通用しうるということが必要となる。そして紙券象徴はこれを強制流通力によって得るのである。この国家強制が行われるのは、一公共体の境界線の示す流通部面、・・・、また貨幣が流通手段として、または鋳貨としてのその機能に解消することができるのも限られた流通部面だけのことである。ここでだけは紙幣となって、その金属実体から外的に分離された、単に機能的な存在っ様式を得ることができるのである」。鋳貨 価値標章end

 第3節 貨 幣

「金の機能が金を唯一の価値態様として交換価値の唯一の妥当なる存在として、単なる使用価値としての他の一切の商品に対して固定する」。              a 貨幣退蔵                                 ①「貨幣は変態序列が中断され、売りがこれに続く買いによって補足されないようになると直ちに不動化する。鋳貨から貨幣に転化される」「金蛹を確保するという必然と熱情が発展してくる」「貨幣は退蔵貨幣に固定化する」「商品の売り手は貨幣退蔵者になる」。                                    ②「まさに商品流通の当初に貨幣に転化されるのは、使用価値の剰余だけである。金と銀とは、自ら剰余または富の社会的表現となる」。                ③「商品生産がもっと発達するとともに、すべての商品生産者は何よりも先立つものを『社会的質権』を確保しなければならぬ」。                   ④「貨幣退蔵者の衝動はその本性上とめどがない。質的に、形態上、貨幣は無制限である。素材的富の一般的な代表者である」。                    ⑤「勤勉と節約と吝嗇は、その主徳をなしている。多く売って少なく買うということが、彼の経済学のすべてである」。                       ⑥「金商品や銀商品の所有も進む。これはブルジョア社会の富と共に増大する」。  ⑦「貨幣退蔵は金属流通の経済機構の中で、いろいろの機能を果たす。・・・。退蔵貨幣貯水池は、同時に流通貨幣の流出流入の水路として役立つ。だから、このような貨幣がその流通水路から溢れ出るようなことは決してない」。

 b 支払手段・・・「商品流通の発達とともに、商品の売渡しはその価格の実現から時間的に分離されるという関係が発達してくる」。                   ①「売り手は債権者となり、買い手は債務者となる。商品の変態、またはその価値形態の発展は、ここで変化しているのであるから、貨幣もまた一つの他の機能を得る。貨幣は支払手段となる」。                             ②「貨幣形態ーーそして債権者と債務者の関係は貨幣関係の形態をとるーーは、ここではただ、もっと深いところにある経済的生活条件の敵対関係を反映しているすぎない」。                                    ③「商品流通の部面に帰ろう。貨幣は第一に契約上確定された価格は、買い手の義務を、彼が一定の期間債務を負う貨幣額を示すものになっている。第二に、貨幣はただ買い手の貨幣約束に存するだけであるが、商品の持ち手の変更を果たせている。支払期日になって始めて支払手段は現実に流通に入る。・・・。こうして商品の価値態様たる貨幣は、いまや流通過程自身の諸関係から生ずる社会的必然性によって、売りの自己目的となる」。                                  ④「商品は貨幣に転化する前に、使用価値に転化する。その第一の変態の完遂は後になって始めて続く」。                              ⑤「流通過程の一定の期間を見ると、債務は売りによって債務を引き起こした商品の価格総額を代表する。この価格総額の実現のために必要なる貨幣量は、支払手段の流通速度にかかっている。・・・。さらに各種の支払期日の時間の長短である。・・・。支払手段の運動はすでにその運動以前に完了して存在する社会的関連を表現する」。   ⑥「支払が同一場所に集積するようになると共に、それらの決済の独自な施設と方法とが自然発生的に発達する」。                          ⑦「支払手段としての貨幣の機能は、媒介なき矛盾を含んでいる。支払いが相殺される限り貨幣はただ観念的に計算貨幣、価値の尺度として機能するだけである」。    ⑧「信用貨幣は、直接に支払手段としての貨幣の機能から生ずる。というわけは、売られた商品に対する債務証券自身が、再び債権の譲渡のために流通するのである。他方において、信用制度が拡大されるに従って貨幣の支払手段としての機能も拡大する」。 ⑨「商品生産がある程度の高さと広さに達すると、貨幣の支払手段としての機能は、商品流通の部面を超える。貨幣が契約の一般的商品となる」。            ⑩「支払手段の流通速度に関する法則から、一切の周期的な支払いに対して、その源泉の如何を問わず、必要な支払手段の量は支払期間の長さに対して正比例の関係に立つということが生ずる」。⑪「支払手段としての貨幣が発達してくると、満期日の債務額のために貨幣蓄積を必要とするようになる。貨幣退蔵はブルジョア社会の進歩とともに、独立の致富形態として消失するが、逆にこの進歩とともに支払手段の準備基金の形態で増大する」。b支払手段end

 c 世界貨幣

①「貨幣は国内流通部面から外に出ると共に、・・・地方形態を再び脱ぎ捨てる。貴金属の本来の地金形態に帰る」。                         ②「世界貨幣は一般的な支払手段として、一般的な購買手段及び絶対的な社会的な富一般の体化物として機能する」。                         ③「各国は世界市場流通に対しても予備基金を必要とする。退蔵貨幣の機能は・・・、一部は世界貨幣としての機能から生ずる」。                   ④「金銀の流れの動きは二重である。一方では、その源泉から全世界市場の上に広がり、・・・、さらに退蔵貨幣に凝結するに至る。他方において、・・・、為替相場の不断の振動に続く運動である」。                             これで、「第1篇 商品と貨幣」は終わりです。